ポティッツァ(potica)- スロベニア伝統焼き菓子


 

スロベニア伝統ケーキ、ポティッツァはクリスマス、イースター休暇の時に食べられる伝統的なお菓子で、15世紀の時から食べられているものです。当時は甘い味やしょっぱい味のものが作られていたそうですが、今では小麦粉をうすーく伸ばした生地にケシの実やクルミを入れた巻いて焼いたスタイルが定番となっています。

 

写真はクルミのポティッツァ(画像提供:https://okusno.je)
写真はクルミのポティッツァ(画像提供:https://okusno.je)

 

このポティッツァに関しては、スロベニアの歴史上の有名人がとても関わっているのも面白いです。最初に文献に出てきたのは、スロベニア語の最初の本(スロベニア語の文法書や聖書)を執筆したプロテスタント派の牧師さん、プリモシュ・トゥルバル(Primož Trubar)さんの本に、ポヴィティッツァ(povitica)という言葉で出てきます。

 

ヤネス・ヴァイカルド・ヴァルヴァソル(Jenez Vajkard Varbasor)最初にポティッツァのレシピを書きました。彼はリュブリャナ出身で初めて歴史、民俗学、地理学、地学、生物学、などをまとめた、今でいう百科事典を執筆したスロベニアの大天才です。本は1689年に出版されました。彼が書いた本は今でも当時のスロベニアを知るための最重要文献なのです。

 

長い間ポティッツァはレシピを改良されてきましたが、1799年にヴァレンティン・ヴォドニク(Valenin Vodnik)が書いた最初のスロベニア語の料理本には、ポティッツァは色々な中身のバリエーションがあるイーストを使って発酵させる生地を使うこと、という風に書かれているそうです。

 

イースターやクリスマスなどに食べられたからか、大事に扱われていた食べ物だったのでしょう。

 

みなさんには全く馴染みのない名前かもしれませんが、スロベニア国民なら誰でも知っている大事な人物なんです!

 


ポティッツァとメラニア夫人


現アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプの妻で、ファーストレディーのメラニア・トランプ夫人がスロベニア出身ということはご存知でしたか?彼女はスロベニアのセウニッツァ出身で、クロアチアに近い、スロベニアの東側にある町の出身です。本当にのどかな場所でそこからファーストレディーまで行き着いたのは、只者ではないと思っています。

 

彼女とフランシスコローマ法王のエピソードがポティッツァをアメリカで(少し)有名にしました。2017年メラニア夫人が大統領と、大統領補佐官の娘夫婦と一緒にローマ法王に謁見したとき、法王はメラニア夫人に「ご主人に何を作って差し上げているのですか?ポティッツァですか?」と聞いたらしいのです。メラニア夫人も通訳の方もジャーナリストも最初は戸惑ったようなのですが、そこはメラニア夫人、ネイティブスロベニア人なので法王を理解し、「ああ、はい。」と答えてます。

 

スロベニアのことは本当に知られていない中で、法王がユニークなジョークを夫人にしたなんて、感動です。

 

 

メラニア夫人とフランシスコローマ法王(画像提供:APニュース)
メラニア夫人とフランシスコローマ法王(画像提供:APニュース)

リアルタイムでメラニア夫人は理解できましたが、他の人は全く謎で、ピッツァと訳してしまった方もいたそうですが、スロベニアジャーナリストがきちんと訂正して、ポティッツァが広がりました。

 

ちなみにローマ法王はポティッツァが本当にお好きなようです。

 

また1880年代以降に多くのスロベニア人がアメリカへ移民として渡ったのですが、特にオハイオ州では大きなコミュニティーがあるそうで、彼らはスロベニアの伝統を受け継ぎ、ポティッツァを作って食べているそうです。私も実際アメリカ人のお客様をガイドしたとき、おばあちゃんから受け継いだレシピを使ってるんですよ、と教えてもらいました。

 

メラニア夫人が作っているかどうかは定かではありませんが、この伝統的なお菓子、ポティッツァをぜひトライしてみてください。

 

スロベニア料理を提供しているレストランや、少し大きめのスーパーで食べることができますよ。